研究開発
ホースから生まれたゴムロープ(ダンパーロープ)
十川ゴムでは長年ゴムホースの製造を行っており、多くの技術が蓄積されております。 これまで蓄積した技術を活用し、強度があり大きく伸びるゴムロープを開発しました。
特徴
ゴムホースの設計で欠かせないのは耐圧性能です。圧力を掛けるとゴムホースは膨らみますが、それを繊維などで補強することで耐圧性能を発揮しております。このようなゴムの伸びを制御する技術をゴムロープ(ダンパーロープ)という形で具現化しました。
当社のダンパーロープは右記断面図の通り、ゴムホースの内側(中空部)にゴムを詰め込んでおり、通常のゴムホースでは強く引張られると伸びて径が細くなり、金具が抜けたりホースが破断しますが、ゴムを内側に埋め込むことで、引張による径の縮小がゴムを圧縮させ、結果反力を生み、中空のホースに比べて径が細くなりにくい構造となります。さらに内側のゴムには高い圧縮強度を持つ高弾性ゴム材料を使用し、補強効果として各層間を強固に接着することで、より高い引張強度を確保しています。
例えば、物体間をワイヤーや樹脂製ロープなどの伸びないロープで固定した場合、物体が移動すると強い張力が発生し、物体自身の破損につながりますが、ダンパーロープは大きく伸びるため物体の移動に追従します。その結果、物体にかかる荷重が小さくなり、万が一大きな荷重が物体に生じた場合でもダンパーロープの強度により破損を防ぐことができます。
※従来型のゴムロープ(引張強度約10kN)の2倍の強度を実現。
用途事例
水上施設固定用ロープ
生け簀や浮桟橋等の水上施設の固定には、これまで金属ワイヤーや樹脂ロープが使用されておりましたが、ロープ自体に伸縮性がないため、潮位変化や風、波の力が水上施設に掛かり、その構造物の破損やロープ切れが発生し、損失が出る事例がありました。
当社のダンパーロープに置き換えると、風、波の力を緩衝出来るので、構造物への負荷が抑制され、構造物の破損やロープ切れを防ぐことが可能です。
制振部材への応用
ダンパーロープは、強度と伸縮性に特徴があります。その特徴を活かした制振部材としての用途も期待されます。
現在住宅等で使用されている制振ダンパーは大がかりなものが多いですが、当社のダンパーロープはシンプルな構造のため、省コストで取り付けが可能です。