ゴム製品の基礎ホースの流量と圧力低下の関係

ホースの中を流体(固体・液体・気体)が流れる時、内面と流体の間に摩擦が起こります。この時に生じる摩擦抵抗により配管内の圧力は低下していきます。
身近な例では、蛇口の水の勢い(送出圧力)に比べ、そこから長く伸ばした水撒きホースの先から出てくる水の勢い(吐出圧力)が弱くなることが挙げられます。このように送出圧力と吐出圧力の間での圧力低下を圧力損失(以下、圧損と略す)といいます。
圧損は流体、流量、ホースサイズ、ホース長さ、ホースの内面の表面粗さなどによって変化します。圧損を何に使うかというと、動作させる機器の必要とする流量に基づいたポンプを選定する際に、ホースの圧損を考慮してポンプの能力を決定したり、プラント設計時に適用ホースの内径を決める時に使います。もしも機器が動作するのに必要な流量に対して、選定したホースの内径が小さいと、流速が上昇し圧損が大きくなります。圧損が極端に大きくなると、接続した機器で必要な吐出圧力を取り出すためにポンプの送出圧力を増大させることになり、ポンプやホースに大きな負荷が生じます。その結果、流体の圧力や温度が上昇し、接続した機器の故障などを招いたり、ホースの交換時期を早めてしまうこともあります。
次のグラフはホースの圧力低下(圧力損失)グラフの一例です。ホースサイズの選定にかかわる基本的な資料の一つですので、参考資料としてご活用ください。

ホースサイズφ9.5、ホース長さ30mを用い、流量0.20ℓ/secの時の圧力損失を求める場合。(タービン油 粘度32㎟/S)
縦軸の流量0.20ℓ/secとホースサイズφ9.5の交点を横軸に求めると0.3MPaであることより0.3MPa×3=0.9MPaの圧力損失が生ずることが求められます。

ホース圧力低下グラフ(1)

ホース内面:スムース
ホースサイズ:内径6.3~63.5㎜
油温:40℃
流体:タービン油
比重:0.846
粘度:32㎟/S

ホース圧力低下グラフ(2)

ホース内面:スムース
ホースサイズ:内径6.3~63.5㎜
油温:40℃
流体:タービン油
比重:0.865
粘度:55㎟/S

ホース圧力低下グラフ(3)

ホース内面:スムース
ホースサイズ:内径6.3~63.5㎜
油温:40℃
流体:タービン油
比重:0.857
粘度:70㎟/S

ホース圧力低下グラフ(4)

ホース内面:スムース
ホースサイズ:内径6.3~50.8㎜
油温:40℃
流体:水
比重:0.992
粘度:0.6㎟/S

ホース圧力低下グラフ(5)

ホース内面:スムース
ホースサイズ:内径6.3~38.1㎜
流体:空気

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