
フッ素ゴム原料は「蛍石」で、フッ素原子の持つ特異な性質を利用したゴムです。ポリマーの骨格によって、ふっ化ビニリデン系ゴムとテトラフルオロエチレンープロピレン共重合体、フルオロシリコーンゴム、フルオロホスファゼンゴムなどがありますが、ふっ化ビニリデン系が最も一般的です。ふっ化ビニリデン系には、二元系と三元系があります。1950年代にアメリカのDuPont(デュポン)社(現:Chemours(ケマーズ)社)の商品名「バイトン®」として発売されています。
フッ素ゴムの性質
- ゴムの中で最も耐熱性に優れたゴムで、高温でもほとんど劣化しない。
- 耐油性をはじめ耐候性、耐オゾン性、耐薬品性なども極めて優れている。
- シリコーンゴムのような柔らかい配合はできない。A45程度が最も低いものである。
- 低温性には弱く、低温特性としてはシリコーンゴムには及ばない。
ふっ化ビニリデン系の二元系と三元系との違い
二元系 (フッ素含有率66~67%) | 三元系 (フッ素含有率68~73%) |
耐熱性では三元系より優れる | ガソホール(アルコールガソリン)に対しては二元系より優れる |
フッ素ゴムの特殊なタイプ
テトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテル系(FFKM)
耐薬品性、耐溶剤性、耐油性に極めて優れ、また低温特性も良い材料です。DuPont(デュポン)社(現:Chemours(ケマーズ)社)の「カルレッツ®」、ダイキン工業の「ダイエル®パーフロ」の商品名が知られています。
フッ素ゴムを使ったゴム製品
素材的には高価な材料ですが、その優れた耐熱性、耐油性、耐候性、耐薬品性により自動車、化学、機械などの産業向けとしてゴムホース、パッキン、ゴムシートなどさまざまな形態で使用されています。