ゴム材料の種類アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)

アクリロニトリルブタジエンゴムは、アクリルニトリルとブタジエンの乳化重合によって得られる非晶性の共重合体で、1930年代にドイツで工業化されて以来、耐油性に最大の特長をもつゴムです。アメリカのDuPont(デュポン)社(現:Chemours(ケマーズ)社)の商品名の「ハイカー®」の通称名でも知られています。分子構造は図1の通りです。

NBRの耐油性は、ポリマーの中のアクリロニトリルのニトリル基の含有量によります。従って結合アクリロニトリル量が加硫物の耐油性を決めるだけでなく、物性にも大きな影響を及ぼします。現在市販されているNBRは15~50%のもので、さらにムーニー粘度(分子量)、分子量分布、ゲル分布量、乳化剤の種類などの差によって多くの種類があります。

■NBRの各種特性に及ぼす結合アクリロニトリル量AN%の影響
AN%多          少
耐熱性良い    >    悪い
耐油性良い    >    悪い
耐寒性悪い    <    良い
弾 性悪い    <    良い
■NBRのグレード
極高ニトリル43%以上
高ニトリル36%以上
中高ニトリル31%以上
中ニトリル25%以上
低ニトリル25%未満
  • ガソリンや軽油などの燃料油、作動油や潤滑油などのオイルに対して優れた耐油性を保有している。
  • 機械的性質及び弾性が優れている。
  • 耐水性、耐アルコール性が良い。
  • 耐摩耗性や耐ガス透過性が良い。

◆燃料ホース、工業用ホース、Oリング、パッキンなどのシール材、ダイヤフラム、靴底、ベルト、 樹脂改質用、接着剤用など広い範囲で使用されています。

◆耐油性が特に優れており、当社ではNBRシート<品番CPL-100、O-100>をはじめ耐油性を要求される製品に使用されています。

ポリブレンド(NBR/PVC)

NBRはポリ塩化ビニル(PVC)と相溶性が良いため、両者をブレンドすることにより耐オゾン性、耐摩耗性を向上させます。ホース、シート、電線、コンベアベルトなどに多く使用されています。

水素化ニトリルゴム(H-NBR)

H-NBRはNBRのブタジエン部を水素により飽和させて作ります。飽和型NBRまたは水素添加型NBRともいいます。NBRを経済的に水素添加反応させるのは難しい技術ですが、1984年に日本及びドイツではじめて開発に成功したものです。H-NBRはNBRより耐熱性、耐候性、耐オゾン性が改良され強度も大きい高性能ゴムです。燃料系のゴムホースや高回転、高出力の要求される自動車のタイミングベルトに使用され、その他燃料系のゴム部品にも使用されています。

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