ゴム材料の種類スチレンブタジエンゴム(SBR)

スチレンブタジエンゴムは、1933年にドイツのIG社の発明が特許になり、1937年にBuna-Sとして本格的に工業生産されました。その後、第二次世界大戦で天然ゴムの確保が困難になり、米国が国防政策の一環として合成ゴムGR-S(Government Rubberの略)の製造を開始したことで、ほぼ現在の製造技術が確立されました。SBRは加工性の良さ、性能のバランス、原料価格、供給安定性により、汎用のゴム原料として、世界各国でタイヤ用途を中心に広範囲の用途に使用されており、合成ゴムの中でも最大の生産量と消費量となっています。分子構造は図1の通りです。

図1の構造式の左側がスチレンの構造で、右側がブタジエンの構造です。製造法の違いで乳化重合と溶液重合のSBRがありますが、生産量の約80%は乳化重合SBRで、その中でも結合スチレン含量(スチレンの部分の量)が23.5%のグレードが世界的な標準品となっています。

SBRはNR、BR、NBR、IRなどと同様にポリマーの化学構造に二重結合があります。しかし、NBRやCRのような極性基を持たないので、耐熱性、耐候性、耐油性などの特殊な性質はNBRやCRに比べて劣っており、いわゆる汎用ゴムに属するゴムです。

NRに対して、SBRのメリット

  • NRと違い化学合成で生産されるため品質が安定し、異物も少ない。
  • 耐摩耗性が良い。
  • 耐熱性が良い。

NRに対して、SBRのデメリット

  • 加硫ゴムの機械的強度(引張強さ、引裂強さ)が低い。
  • 生ゴムの強度が低い。
  • 加硫が遅い。
  • 耐寒性が悪い。

◆ゴムタイヤやベルトなどの耐摩耗性、機械的強度が必要とされる製品には、SBRと他の原料ゴムをブレンドした製品が数多くあります。

◆当社製品のSBRゴムシート<品番J-100>のようにSBR単独で使用している製品もありますが、他の種類の原料ゴムと組み合わせることで物性、生産性や加工性改良の相乗効果もあるため、SBRはNRやBRなどとブレンド配合して製造されることが多く、当社では耐摩耗性ゴムシート<品番M-1060、M-3065など>や耐摩耗性ホースなどをはじめ各種製品で応用しています。

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